10万キロ乗るためには -For 100000km-

大切なお車を10万キロ乗る為のアドバイスです

◇エンジン関係◇

タイミングベルト

一般的にタイミングベルトはメーカー公称値では10万キロ以上の耐久性があるとされています。ところが現実にはその距離に達する前に切れる(正確には歯が欠ける)ことが多いのだ。使用状況やメンテで寿命が左右される為4万~5万キロ前後がボーダーラインで、切れなかったとしても10万キロを超えてしまったら、いつ切れてもおかしくない状況にある。 もしもこれが切れてしまうとカムシャフトが回らない為、いくらセルを回しても空回りするだけ。バルブが突き出した状態で止まるため、慣性や逆ロードで持ち上がってきたピストンの頭に突き刺さることもあるので要注意!国産車のエンジンは切れることを前提にバルブの逃げ道を作る傾向にあるため大事に至らないケースもあるが5000~6000回転、つまり、高回転で回っているときに切れたら…まずダメ。
すでに10万キロ走っていたなら、ただちに交換を。

エンジンマウント

エンジンとボディの接続部分には振動が伝わらないよう遮断するインシュレーター、つまり「エンジンマウント」が取り付けられている。 ところが、振動の吸収を担っているのは「ゴム」で、年数が経過すれば硬化したり変形することで性能が劣化。振動を吸収しきれなくなるのだ。 しかも、エンジンが横向きに搭載されているFF車はタイヤのトルク反力をファイナルギアを介してエンジンが直接受けることになるため、車体の前後方向に揺れが大きく(縦置きエンジンのFR車はファイナルギアが後軸上に設置されている為タイヤのトルク反力のほとんどはサスペンションが受け止めるため、前後方向への揺れは小さい)負担がかかる。このため、ハードに走りこめば寿命を縮め状況によっては5万キロ台で破損することも…。このため、10万キロ走った車であればまず間違いなくヘタっている。
ヘタるとしんどうや騒音が増大し加減速時に「ガタガタ」といった感じの振動が多発するようになるので、妙にガサつくなと感じたなら交換を検討したい。

燃料フィルター

ガソリンにゴミや水分が混じるとキャブレターや燃料噴射ノズルを詰まらせるなどエンジンの不調の原因となるため、燃料ラインの途中には必ず燃料フィルターがセットされていますが、その存在を知っている人は意外に少なく定期的に交換している人はまれ。そのまま使用すれば目詰まりを起こし、加速時など流量が増えたとき必要な量を流しきれなくなる。また、燃料噴射装置はガソリン自体が潤滑材の役割を果たす為、フィルターが汚れてゴミや水分をろ過しきれなくなるとサビて動かなくなる。つまり、二次的なトラブルをも誘発するのだ。
キャブレター仕様で4万キロ走行ごと、燃料噴射仕様では10万キロ走行ごとに交換されているが、地域によって燃料の質にばらつきがあり、詰まっているかどうかは見てもわからないためメーカー推奨値の半分を目安に交換。これがベストで、すでに10万キロ以上走っているなら無条件で交換するべきだ。

ウォーターポンプ

冷却水が劣化したまま乗っていると防錆効果が薄れて冷却経路内にサビが発生しそれが原因でウォーターポンプのシールが破損。水が浸入することでベアリングが錆でガタガタになる。そんな状態に陥るとき、初期症状としてケース側面のシャフトの下に開けたれた小さな穴から水がちょろちょろと濡れだすが10万キロも走ればメンテしてても経年劣化で同様のトラブルを誘発しやすくなるので要注意。たまに漏れていないかチェック!

バッテリー

バッテリーに貯えられる電気に限りがあるため発電することで消費した電気を補っている。 その役割を担っているのがオルタネーターだが、10万キロ以上走ると確実に発電能力が低下してくる。そんな状態でバッテリーだけを新品にしたところで電気の安定供給は望めないわけ。このため、充電系のオーバーホールを検討したい。

プラグ

参考写真:NGK スパークプラグ 10万キロに到達すまで一度も交換していなかったらぜひ交換したほうがいい。交換の際は白金(プラチナ)かイリジウムプラグにしよう。
ついでにプラグコードも交換できるなら交換したほうがいい。

◇トランスミッション◇

AT(オートマチック)

ATにはクラッチは入っていないと考えている人が多いがミッション内部には湿式のクラッチが複数セットされている。
MTはクラッチが薄くなると滑るように、ATの場合も湿式のクラッチが薄くなれば滑りを生じるのだ。ただし、クラッチの滑りからくる現象はMTとは微妙に異なる。Dレンジに入れたときに「ドンッ」とくるショックがきつくなるのだ。
参考写真:トヨタ クラウン 6速AT  特にATフルード交換などのメンテを怠っていた車で10万キロを超えてしまったなら、そろそろやばい。急激なアクションがでるようならATフルードを替えてもダメ。オーバーホールする必要がでてくる。
また、メカニカル音が出るのもアウトだ。ATはトルクコンバーターを回して油圧を発生させ、バルブボディを動かすことでギアを動かし、クラッチを圧縮したり開放したりと、とにかく複雑な制御を行っており、全てのパーツはATフルードに浸っている。このため、音が出るようなら交換が必要だ。

MT(マニュアル)

参考写真:スバル インプレッサ 6速MT クラッチは丁寧に扱えば5万~6万キロはゆうにもつがそれ以上の距離を走ればクラッチディスクが磨耗することで滑りを生じやすくなるため、無交換で10万キロ近く走っていたとしたらすでに滑っている疑いがある。
ところが、滑るとどうなるかを知らない人が意外と多い。滑り出すと加速したときにタコメーターの針だけが「スゥー」っと上がってしまい。加速感のわりにエンジン回転の上がりが早く感じるようになる。そして、限界に達するとまったく進まなくなるので、そんな兆候が現れたら直ちに修理に出したい。

◇サスペンション◇

ショックアブソーバー

ショックアブソーバーの性能低下は、徐々に進みつつ明確な症状があらわれない。しかも、ヘタるとクッションのきいた椅子に座っているがごとくフワフワする為、「乗り心地がよい」と勘違いしているユーザーも。
参考写真:スバル インプレッサのサスペンション  このため、劣化に気づかずにいることが多く定期的に交換している人はまれ。本来は
3万~4万キロ走行ごとに交換すべきパーツなのだが、ディーラーでさえ「交換するのは年に2・3台」なんてのが現実なのだ。
10万キロ無交換だったとしたら交換したことによる違いが明確に体感でき、見違えたように走りが安定する。ぜひ交換を。

ブッシュ関係

サスペンション各部の接続部には、振動や衝撃を緩和する為にゴム製のブッシュがセットされている。これの寿命は7万~8万キロで10万キロ走れば確実に劣化してくるものの、取り替えなくても差し迫った危険はない。が、足回りの踏ん張りがきかなくなり、安定感にかけるようになるので走り屋だったら出来るだけ交換するべきだ。

アライメント

走りが不安定と言うだけでアライメントの狂いと短絡的に考える人が意外に多いが、アライメント調整は本来、足回りの整備の終点作業なのだ。 例えば、サスペンションのロッドが曲がっていたりガタがあったら、それ以前の話なわけで、10万キロも走っていれば各部にガタがきていて当然。キッチリ走らせたいと思ったら一通り手を入れる必要がある。確認の意味をかねて最後にアライメント調整。これが基本。

◇ブレーキ◇

ブレーキキャリパー

フットブレーキの圧力を発生させる部分(マスターシリンダー)のピストンは親指の先ほどのゴムのカップでシールされている。ディスクブレーキにしてもリング状のゴムシールで圧力を保持しているにすぎない。
油圧を伝達するホースもゴム製で、距離を走れば磨耗し年数が経てば確実に劣化する。このため、定期的に分解・整備する必要があり、5万キロノーメンテだっただけでもかなり危ない状況。カップが劣化すると溶け出してブレーキフルードが黒ずむようになるので、もしもそんな状態だったら早急にオーバーホールする必要がある。

ブレーキローター

参考写真:スバル インプレッサ ブレーキ ディスクブレーキはブレーキローターをパッドでくわえることで制動力を発生させている為、使っているとどうしてもローターも磨耗してくる。特にヨーロッパ車などはローターを磨耗させることを前提としている為比較的減りが早い。その引き換えとして効き味がよく、ホイールも汚れやすいのだ。
それに比べて国産車は減りにくいが、距離を走れば確実に磨耗。レコード盤みたいな溝が無数に入り、段差も生じてくる。そうなるとパッドのあたりがムラになり、効きも悪くなってしまうのだ。このため、ブレーキパッドを交換するときは必ずチェックするべきものです。どんなに高性能なパッドでもロータ-が荒れていたら意味がないからだ。10万キロも走れば確実に磨耗しているはずだが、交換している人はまれ。1・2回くらいは研磨することで再利用可能なのでどんな状態になっているかチェックしておきたい。

ブレーキフルード

ブレーキフルードは湿気に弱いうえにブレーキング時の高熱にさらされる為、使い始めて1年も経つと水分を取り込んで劣化してくる。
新品時はほぼ透明で茶色く濁ってきたら劣化している証拠。そんな状態のまま使いつづけると混入した水分でマスターシリンダーやブレーキシリンダーの内壁が錆びるなど、液漏れの要因となる。このため、少なくとも車検ごとの交換が必須で、それすら怠っていたとしたらかなり危ない状況に陥る。そして、もしもそんな状況で10万キロ走ってしまったら直ちに点検の実施をお勧めします。

◇タイヤ&ホイール◇

ホイールベアリング

ホイールの回転軸にはスムーズに回す為にベアリングが組みつけられています。このベアリング(ホイールベアリング)は荷重を一手に引き受けているため、距離を走れば確実に磨耗し無謀な運転を繰り返せばガタが発生しやすくなる。そして、ガタがあるとステアリングが振られるなどのトラブルが生じ、タイヤの異常磨耗をも引き起こします。
ところが、このような不具合は徐々に進行し、タイヤが接地した状態ではまずわからない。10万キロ前後走っていれば最低1回は交換しているはずで、定期点検を確実に実施していたなら大丈夫ですがもし点検を怠っていたなら要チェックです。

◇ボディ◇

ボディの歪み

距離を走ると、それまでに遭遇した些細な衝撃の積み重ねから引き起こされる経年披露によってボディがゆがむことがあります。 例えばタワーバーを取り付けてからしばらくするとはずしにくくなり、1度はずすと今度は取り付け穴が合わなくなる。装着したことがある人なら経験しているはず。これの原因はまさにボディがゆがんだことによるものです。
普通は大きな事故でもしない限り、極端にゆがむことはないが、もしもドアの隙間やボンネット、トランクのまわりの隙間が右と左とであきらかに異なり、閉まりが悪くなるなどの弊害を生じてきたらフレームを修正する必要がでてきます。

◇その他◇

ドライブシャフトブーツ

FFや4WDのフロントホイールとドライブシャフトのジョイント部分にはサスペンションの上下動やステアリング操作の方向へ曲げる力が加わるなどかなりの負荷が掛かります。
このため、防水用のブーツは劣化しやすく、年数が経過すると確実にひび割れ、裂けてしまうのだ。10万キロももたないのが現実なのでチェックが必要です。

ゴム・樹脂パーツ関係

衝動を吸収したり密閉が必要な部分にはゴムや樹脂のパーツが必要不可欠。車はそんなパーツが無数に使われている。が、この手のパーツは使用していれば磨耗し、年数が経てば確実に劣化。10万キロ走った車をさらに走らせようと思ったときのアキレス腱となる。このため、一定のコンディションを維持させる為には交換することが必要となります。

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